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 諦めたはずなのに。納得したはずなのに。この期に及んで、私は何を求めてしまったのだろう。馬鹿だ。愚か者だ。 「うん? 大和、誰に手を振ってるの?」  私が振り向くと、大和に手を引かれながら、こちらを振り向いている女性がいた。とても優しそうな人だ。  彼女は私に向かって軽く会釈すると、大和と一緒に去っていった。  二人の背中を見送りながら、大和は陽のあたる場所で生きて行けるんだなと実感した。大和が 幸せならそれが一番だ。他に望むものなんてない。 望んじゃいけない。私はあの日。日陰で生きることを選んだのだから。  幸せになってね。そしてさようなら。 愛しい大和。 〈完〉
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