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 アパートの外国人、(ぼく)さんとソムチャイさんも大和と遊んでくれるようになり、三才の誕生日には家に招くくらい親しくなっていた。  そんなある日のことだった。私が洗濯物を畳んでいると、半分に切って凍らせた滅多に買わないバナナを食べた大和が、手を洗って手伝いに来てくれた。 「おやつ食べないの?」  大和はコクりと頷いた。大和はおやつのカゴに入ったお菓子を、毎日決めた数だけ食べる子だった。 「バナナはおやつじゃないから、お菓子も食べていいんだよ?」  大和は首を横に振った。 「どうしたの? お腹痛い?」  洗濯物を丸めるように畳む大和は、言いにくそうに口を開いた。 「お菓子なくなったら。ママがお仕事なの……」  
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