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 数日前の事だった。眠った大和を残し仕事に出掛けた。アパートは店の前から見える距離だったから、大和が一人で眠るようになってからは時折そうしていた。すると深夜にソムチャイさんが、初めてスナックにやってきた。その傍らには顔を真っ赤にした大和がいた。  どうやら深夜に目を覚まし、寝ぼけていたのか私が居なかったせいか大泣きをしていたらしい。  それまでも小さな体で、私の節約や仕事に対して感じ取っている事があったのだろう。その日からそれは敏感に、目に見えるものになっていた。  お買い物でジュースやお菓子を欲しそうな仕草をしなくなり、家の中の電気をよく消すようになった。食べ残しは「明日食べる」と言うようになり、夜には眠気と戦っている姿を見るようになった。 「お菓子なくなったら。ママがお仕事なの……」  私はこの時になって、大和の気持ちを理解した。私のために。私とのために。自分が出来る限りの努力をしてくれている。大人でさえ難しい我慢を、私は小さな大和にさせてしまっている。  大和に涙は見せないように、私はその小さな体を抱き寄せた。心の中で『ごめんね』と『ありがとう』を繰り返しながら。
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