あの子

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小さい頃からそうだった。 前の席の子が、宿題を提出する。 少し前を覗くと、いつも丁寧な字が連なっている。 私には1日かけても、書けないだろう。 いつも背筋が伸びていて、凛としていて、大人びている。 その姿に恋する男子も少なくない。 私の恋する相手も、彼女の虜になったうちの1人だ。 いつもあの子は、彼に勉強を教えている。先生より教えるのが上手いと彼が言っていた。 彼を笑顔にしたくて何度も話しかけにいく自分。 彼に無愛想なあの子。 勉強は人より理解に時間がかかるし、運動は好きだけど得意ではない。 あの子みたいだったらな。 もう少し彼に振り向いてもらえるかな。 別に彼に好かれるために生きてるわけじゃない。 でも、たまらなく虚しいのだ。 なぜ、あの子なの? 彼の瞳に映るのは、いつだってあの子。
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