あの子

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小さい頃からそうだった。 小学生の頃の漢字ドリルの宿題。 私は、忘れたことがなかった。 丁寧に1文字1文字書き上げ、忘れないように何度もランドセルを確認して、学校に持っていく。 やっとのことで、先生に提出する。 そして、先生から放たれる一言は、 「はーい。確認しておくね。」 その次に、私の後ろの女の子が提出する。 すると先生は、 「あれっ、〇〇ちゃん。今日はちゃんとやってきたのね。  えらいねー。字も丁寧で。素晴らしい!明日もがんばってね。」 その時からだ。 毎日頑張ってる自分が虚しくなったのは。 その子より、毎日頑張ってるのに。 毎日毎日忘れないで提出する自分。 いつも宿題を忘れて、たまに提出するあの子。 褒められるのはいつだってあの子。 何でなの? 私も頑張ってるのに。 頑張ってる自分がバカみたい。 別に褒められたくて毎日宿題をしてるわけじゃない。 でも、たまらなく虚しいのだ。 なぜあの子なの? いつだってあの子。
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