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運命
シルバーの髪に金色の瞳、色白の肌。
そんな俺の姿を見て皆口を揃えて「天使様」などと呼ぶ。
俺だって立派なαなのに…
そう何度も思った事が。
俺の家系は所謂エリートαの家系で幼少期から色々と習い事をさせられていた。勿論αの血を濃く受け継いでいた俺は何の苦労もなくそれらをこなしていたがただただ退屈だった。
車から眺める景色はいつも見ている何気ないもの。エスカレーター式で通っている学校の為幼稚園から数えると今は中学生だから少なくとも10年だ。
車が停車して態々俺の座っているドアを開けた運転手。それに対して俺は学生鞄を手に持ち礼を言ってから降りた。
「彗様、それでは行ってらっしゃいませ。」
『行ってきます。』
何れ会う運命の番ならばこの気持ちを何とかしてくれるだろうか。
俺はずっと昔、母様に読んでもらった絵本に書いてあった運命の番を信じていた。
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