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「……一式樂人」
「……」
「あなた、一式さんて、いう人でしょ」優那は、自分でもよくわからない考えに行きついていると自負していたが、苦悶の表情で問いかける。しかし、キツネは何も言わない。
「わかるよ、私には。あなた、本当は人間なんでしょ? しかも、私と同じ学校」
「……」
「なんで人間に戻らないの? みんな心配してるよ!」
「……」
もしかして、戻れないの? 優那が問いかけると、キツネはそっと真顔に表情を戻し踵を返した。そして、「それ、そっくりそのまま自分に返す」と言う。何を、と優那は思ったが。
「なんで学校に戻らんの。みんな心配してんで、1年C組の兼綱優那さん。」
──。
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