おきつね・エンカウント

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「自分、いつまでおんの」    キツネに問われ、優那は少し考えたが。「んー、学校が終わるころ」   「部活入っとるん?」 「ううん。帰宅部だよ」 「ほな、15時過ぎか」 「なんであなた、人間の学校のことに詳しいの?」 「キツネでも知っとるて。常識はずれみたいな言い方するな」    はは、と笑うキツネは、チラ。と優那を見つめてこう言う。「常識ないのは」   「お嬢さんのほうやん。こんな人気のないとこで、へんなのに捕まったらどないするん?」    キツネの言葉に、確かにそうだね。と優那はシャボン玉をふきながら頷く。   「でも、“へんなの”にはすでに捕まってるから。喋れるキツネさん」    優那は、狩猟もある森なのにうろつくキツネのほうが、常識がないと付け足した。キツネは笑い、頷く。ご心配おおきに。まるで、そんなことがありえないといったようすで零して返し、毛づくろいを終えたようだった。    それから、ふと気になり、優那は手を止めて。こんなことを聞くのも変かな。思いつつ、問いかける。「あのさ、あなた」
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