きもち、攫われそうになる

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「ええの? ホンマにくれるん?」 「いいよ。いつものお礼」    おれ、世話焼いたりした憶えないけど。キツネがそう言うと、あなたらしくないと優那は笑う。「もっと、がっつくと思ってた」   「うさぎや野ねずみばっかりだと、飽きたりするでしょ。たまには、贅沢してみたら?」 「……ほな、いただこうかな」 「あぁ、お箸使えないよね。浅いお皿によそうから、ちょっと待ってね」 「ええて別に」    そう言うと、いただきます。と言って、はぐはぐと、キツネはうな重を食べだした。白飯もきちんと食べているので、キツネってご飯食べるんだ。と、優那は少し驚いたが、今日はこの様子なら一緒にご飯が食べられる。と、少し嬉しく思い、母が作ってくれたお弁当を広げて、いただきます。と言うと、お昼を取りだす。   「うまい……」    いつぶりやろ。ぼそ、と呟いた言葉に、優那はどういう意味? と問いかけたが、なんでも。とキツネは苦笑し、うな重を食べ続けだしている。
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