2 ― 感情のまにまに【6.5 更新】

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 ――帰りたいです、さっさと。  吐き捨てるように告げると、邑木さんはわずかに微笑み、わたしを家まで送ると言い出した。どんなに悪態をついてもこの(ひと)がフェミニストを崩すことはないのだと悟った。  どうかしている。あの(ひと)も、あの(ひと)と寝たわたしも、どうかしている。 「お会計をお待ちの、101番の方――」  受付けからのアナウンスに、瞼がぱっと開いた。会計をすませ、発行されたクリニックのカードと領収書を受け取り、隣接された薬局へ向かう。  メンタルクリニックがどんなところか、ここへ来るまでは身構えていた。  どんな患者がいて、どんな空気が漂っているのか。受付けでどんな目を向けられ、どんな質問をされるのか。  もし叫んだり、暴れたりしている人がいたらどうしたらいいのか――なんて考えてしまうのは偏見だろうか。  偏見という言葉はひどく曖昧だ。なにを基準にして偏っている、とみなすのだろう。
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