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――かわいい。由紀ちゃんが一番、かわいい。かわいい、かわいい変態。
あんなところを見られて拒絶されると思ったのに、この男は拒絶するどころか、いつもよりも丁寧にわたしを愛でた。
髪の毛先も、耳の淵も、耳朶の産毛も、小指と皮膚のわずかな隙間までも。
すべてをくまなく愛でられる。
そしてそれをずっと待ちわびていたかのように、わたしの躰はひどく悦んだ。
ひどく素直に、ひどく乱れて。
ソファーの上で跳ねる背中。
キスをねだるように首に絡みついた腕。
獣の肌の上を泳ぐ指先。
キスをするたびに触れる眼鏡が煩わしい。
無意識に、眼鏡の縁に指先がのびる。
「邪魔だった?」
問いかけに頷くと、邑木さんは自分で眼鏡を外しはじめた。
わたしの指先は眼鏡からシャツへと流れるように移る。
さらりとした生地のシャツ。だけどボタンは固くて、なかなか外れない。
煩わしさがぐんぐん募る。
半ば力づくでボタンを外すと、邑木さんがしきりに瞬きしていた。
眼鏡を外して幼くなっている顔の幼さが増す。
こんな顔も、するんだ。
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