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喉をさすると何度か咳がでた。水が飲みたい。ペットボトルの水は飲み切ってしまった。
だけどあの笑い声に包まれた地獄を通り抜けてキッチンに向かうのは、あまりに過酷な道のりだ。キッチンに辿り着く頃にはきっと干からびて死んでいる。
こっそり抜け出して、そのままコンビニにでも避難しよう。石井さんに挨拶しなかったことを咎められるだろうけど、そんなことはどうだっていい。
よし、と財布を掴むと、どこからか鈍い音が聞こえた。息が止まり、たちまち全身の毛が逆立つ。
わたしは低い唸りをあげるスマホにおそるおそる手を伸ばし、表示された電話番号を一つずつ確認した。すべての数字を確認すると、救われたような、堕ちていくような、そんな感覚を覚えた。
どうなるだろう、わたし。
マニキュアの欠片の残る人差し指で画面をスワイプし、スマホを耳に当てた。静かに唾液を飲み下し、わたしはゆっくりと口を開いた。
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