そして破滅へ

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そして破滅へ

 俺が好きなあの子は、俺の親友の阿川(あがわ)康司(やすし)が好きだった。  康司は、俺が持っていない全てを持っていた。  どんなに頑張っても、俺は康司には敵わなかった。  そして俺は苦しさの余り、現実から逃げた。  貴島(きじま)華怜(かれん)の、康司と会話している時の眩しい笑顔が、俺には耐えられなかったからだ。  小説が書きたくて書いているわけではない。書いていないと、精神が崩壊しそうになるのだ。  そんなとき、さらに俺を追い詰めるような出来事が起こった。  『康司も小説を書き始めた』のだ。
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