そして破滅へ

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 母親の夢を見た。  俺の両親を俗な呼び方で呼ぶとすれば、『毒親』だ。  父親は完璧主義で、俺がどんなに頑張っても褒めてくれたためしがない。  母親は機嫌のいい時は優しく、そうでないときは平気で人の心をずたずたにする言葉を発する女だった。  俺は、常に両親の機嫌を窺いながら生きてきた。  正直、今でも両親に対する憎悪は消えない。これは、幸せな家庭に生まれた人々には、とても考えられないことだろうし、そして許さざるべきことだろう。でも、事実そうなのだ。誰も、自分の心の中まで変えることはできない。  それとも、俺がしたり顔で『生んでくれた両親に感謝したい』などと言えば、皆は受け入れてくれるのだろうか。真実を言って批判されるより、当たり障りのない嘘を言うことが、なのだろうか。  俺は、心の中で、『彼らはあくまでも、俺の生物学上の親に過ぎない』と自分に言い聞かせ、一時的に燃え盛るような憎しみを抑えた。  しかし、見かけ上無理矢理憎しみを消したところで、心の奥底では決してごまかすことのできない感情がくすぶっている。  今朝見た母親の夢は、いつも見る夢だ。
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