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仁と2人で、また会社に戻った。 定時をとっくに過ぎているけど、ブラック企業・・・。 まだまだ多くの社員が残っている。 仁と並んで歩いていると、廊下の向こうから隣の席の先輩が現れた。 それを見て、思い出す。 「社長、お疲れ様です。 柳川!聞いたぞ!“KONDO”の案件、柳川が勝ち取ったらしいな!!」 そう言ってくれるのに、私は俯いたまま・・・。 「二葉?」 仁が心配そうな声で私を呼ぶ。 「仁、ごめん・・・。」 「なんだよ?」 「私、仁以外の人に“愛してる”って言っちゃった。」 「・・・誰にだよ?」 恐る恐る顔を上げ、焦りまくっている顔の先輩を指差す。 仁はしばらく無言になり・・・ 「何でそんなことを言った?」 「森川病院のこと、先輩が気付かせてくれたの。 生徒会長の病院だって。」 「・・・あと、中田一成がうちに面談に来た時もな。」 「そうだね、あの時も・・・。 他の先輩が一成君を帰したのに、先輩は私に一成君のことを教えてくれて・・・。 帰るギリギリで引き留めることが出来た。」 私がそう言うと、仁が私の腰に手を回し私を引き寄せた。 「二葉、先輩のこと愛してる?」 「・・・あの時はそう思っちゃって。」 「分かる!俺も俺も!!」 急に大きな声でそう言ったので、驚いて仁を見上げる。 仁は真っ直ぐ、先輩を見て・・・ 「俺も先輩愛してますから!! あの大企業に残らず、俺と一緒に来てくれた時から俺も愛してますよ!!」 「・・・仁!!そういうのは柳川に言え!! なんなんだよ2人とも!!」 先輩が怒りながらも笑って、会社を見渡す。 「何にも出来ない俺を、仁だけが認めてくれたからな。 それはついていきたくなるよ。」 「俺の方こそ何も出来ませんから。 俺は、バカなんで。」 「それを言ったら、私はコミュ障。」 3人で、笑いあった。 「あ~!!3人とも!! うちの会社はまだまだ動きますよ!?」 社員の1人がそう言うと、みんなが大きな声で笑った。 会社の中・・・会社という城の中、今日も冒険者達はまだまだゲームを続ける。 「デカイ城にするぞ、二葉!!」 「大きなステージにもしよう。 演奏しよう、仁。」 「良い冒険者で良い演奏者が揃ってるからな。 頼んだぞ、二葉!!」 そう言って、仁が白いクマのボールペンを渡してきた。 仁は・・・茶色いクマのボールペンを持っている。 それに笑い、白いクマのボールペンを受け取った。 そして、1回・・・回した。 冒険をしよう・・・。 リアルの世界で。 そして、音楽も・・・。 何にだってなれる・・・。 仁が一緒なら何にだって、きっとなれる・・・。 でも・・・ 「帰ったら、またやるか! ちゃんと夫婦になったからな! ガンガン子作りするぞ!」 もしかしたら、ラスボスはまた復活するのかもしれない・・・。 end......
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