蛇足的ないわゆるざまぁパート③

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蛇足的ないわゆるざまぁパート③

 水鏡の術は、王の一言により中断された。 「お前たち、どう見る。」 正直なところ、水鏡の術で映し出された過去の映像から分かる事はそれほど多くなかった。国王は王太子の発言含め 意見を求める。 「発言をお許しください。」 そう言ったのは水鏡の術を展開していた魔導士の一人で、発言の許可を得て続けるには、 「魔王が消える間際、何かの術か呪いが発動しているようでした。詳細は精査する必要がありますが、おそらく瘴気が消えない原因はその術か呪いの類ではないかと思われます。」 彼の発言を軸に考察が進められるが、情報が少なすぎることもあり埒が明かない。もう一度、今度は王太子が聖女の名前を呼ぶあたりから術を展開し魔王の状態を確認することになる。 「確かに、何らかの術が発動しているようです。」 司祭の一人がそう発言する。 「おそらく魔王自身が自らにかけた術か呪いでしょうか。巧妙に隠されているので詳細が一向に分かりませんね。」 「何度水鏡の術を展開しても解析は出来ないでしょう。」 他の司祭や魔導士が口々に述べる。彼らの顔色は芳しくない。  結局、最も重要なことが分からないままだ。王太子の言う通り、少なくとも魔王は居なくなっている。討伐されたと云う表現が当てはまるかどうかは別にして、だ。そうなると困るのは残る瘴気と魔物だった。どうやら魔王にかけられた術の類が原因なのだろうとは分かったがそれだけでは対処のしようがない。 「大変でございます!」 重苦しい空気が支配する中に、一人、慌てた様子で飛び込んでくる。 「王の御前であるぞ、何を…」 「聖女が、聖女が召喚できません!」 窘める貴族の言葉を遮るように、大聖堂に飛び込んできた彼が言う。水鏡の術を展開しているチームとは別に、聖女の次回召喚時期について調べていたグループの一人だった。 「何を戯けたことを。聖女は居なくなったばかりだろう。すぐに召喚できないのは誰もが知っていることだ。」 「違います、もう二度と、召喚できないのです。今後何年、何百年経っても、聖女召喚が出来なくなりました。」 「なんだって? どういうことだ!」 「理由は現在調査中です。状況としては、聖女召喚術に関する術式に係わる情報が、術者の記憶どころか記録一式全て消失しております。」 ざわり、絶望に近い不安がその場の全員を襲った。  国王が再度詳細を報告するよう命じるも、ほとんど要領を得ない。 「術者の記憶から、聖女召喚に関する記憶だけが綺麗に無くなっていると申しますか、全く思い出せないそうです。文献も、聖女に係わる記述部分だけが狙ったようにインクを零したかのように塗りつぶされておりまして… ただ、それがインクや染料の類ではないことは判明しているのですが、何かまでは分からず、復元不可能な状態です。」 要は何が何だか分からないが、記憶も記録も無くなっている。最初の報告そのままである。 「気付かず忘れてしまっていることもあるかもしれませんが、それを調べる手段もなく…」 その場にいる一同の顔面から、完全に血の気が失くなった瞬間でもある。
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