第11章 東京ふたり暮らし・ver.羽有

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だけど、何でか妙な納得と達成感が湧いてきた。多分今のメッセージは多少なりとも彼の胸に届いた気がする。少なくともこれまで送った安否確認と励ましのLINEよりは。 食い気味に既読がついていく様子から、彼がわたしの言葉を受け入れたのが伝わってきた。響いたかどうかはわからないが。言いたいことは理解してくれたみたい。 最後に駄目押しで付け加えた。 『難しいことはどうでもいいか。とにかく顔見て話がしたい。ずっと、ゆっくりお互いのことを話したことなんてなかったから。連絡待ってます』 しばらく既読がつかなかった。多分一旦あれで終わりと受け取って、スマホから離れていたんだろう。少し間が空いて慌てたようにぱっと既読がついたのでちょっと笑ってしまった。 すぐに何か返ってくるとは期待してない。だけど、数撃ちゃ当たるの精神でいろいろと試しに投げ込んだ言葉のどれかが彼に響いて、何かのきっかけになってくれればいいな。とそこら辺りで踏ん切りを付けて、わたしはよっこらしょと立ち上がり二人を手伝うべくキッチンへと向かった。
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