2人が本棚に入れています
本棚に追加
「怖い物件を紹介してほしいと」
「はい」
安在不動産の客間で、安在は来客をもう一度見る。
「失礼ですがお名前は」
客は紙とペンを取り出し、横線をふたつ引き呟く。
「一一とかいてニノマエハジメと読みます」
「ニノマエさんですか。どうしてウチにそんなことを?」
ニノマエは胸ポケットから名刺を取り出し、安在の前に置く。
「この方の紹介です」
名刺の名前を見て安在は頷く。
「わかりました、ご紹介しましょう。ちなみに見るだけですか」
「いいえ、そこに住みたいんです」
ニノマエは食い気味に呟く。
「ぜひ住みたいんです、それもなるだけ早く、お願いします」
その態度に安在は当惑するが、とりあえず行ってみましょうと腰を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!