怖い物件に住みたい[読みきり]

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 豊橋駅に着くと、土産物売り場にいき安在はチクワを買ってニノマエに渡す。 「これは……」 ニノマエが呟く。 「奏でるチクワといいます。ちゃんと持っていてください」 安在はそう言うと先に市電に乗り込み、ニノマエも続いて乗る。 中には女子高生の四人組が、じゃんだらりんと楽しげに話していた。 「だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!」 ちー先輩と呼ばれているコが、ひときわ大きな声でそう叫んだ……。  ──いつの間にか寝ていたニノマエが安在に起こされる。 「着きましたよニノマエさん、ここからは歩きです」  しばらく歩いて着いたところは、かなり古いアパートだった。[タンホラ荘]と看板が掲げられている。 「ニノマエさん、ここがお望みの物件です。二階真ん中の部屋が空いてます」 「わかりました、ここに住みます」 内覧もせずにニノマエは即決した。
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