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──三日後、ニノマエは精神崩壊寸前だった。
「な、なんなんだこのアパートは……。入居当日に隣で一家心中が起きて、夜は屋上から投身自殺、昨日は反対の部屋で殺人が起きてる。なのに警察は来ないうえに、死んだはずの家族や住人が当たり前のように生き返っている、どうなっているんだ、いったい」
六畳一間の簡素な部屋でニノマエはのたうち回る。
「あのヒトに会いたい、その一心で怖い物件に住んだのに、まさかここまでとは……」
ニノマエは名刺を取り出す。
「会いたい……」
そう呟いた瞬間だった。
「ソイツをよこせーーー」
そう叫びながら壁から無数の手が飛び出し、押入れと天井に住んでたヤツらがとびかかってくる。
昼なのに窓の外には無数の幽霊がやってきて、玄関からは死んだはずの隣人たちがやってきた。
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