しあわせのために演じます

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「カホちゃん、美味しい?」  ショートケーキとチーズケーキを交互に頬張るカホをママは嬉しそうに見つめている。 「カホは本当に美味しそうに食べるなぁ~」  パパの頬はさっきから緩みっぱなしだ。 「うん! だってとっても美味しいんだもん!」  そう言いつつチラリとリビングのテレビ台に目をやると、そこには笑顔の両親とカホの3人が並んで写った写真が飾られている。……まるでシホちゃんなんて最初から存在していなかったみたいだ。  演じましょう、演じましょう。わたしが貴女を演じましょう。  演じましょう、演じましょう。しあわせな家族を演じましょう。  ……ああ本当に、誰もかれも道化(馬鹿)ばっかり。 《終》
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