第一王子フランツ殿下は婚約者の本音を知る

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第一王子フランツ殿下は婚約者の本音を知る

「皆様、お薬が効いてきたと思います。フランツ殿下の胸元をご覧ください。心臓辺りに呪いの円盤が見えていますでしょう。あれが、魔女がかけた呪いです」  フランツの胸元に文字が書かれた直径二十cmくらいの円盤が浮かんでいた。 「頭から、全身へ呪いをかけられたと思ったのだが、意外に小さいものだな」    そう言う、フランツの傍にネブラは立った。呪いの円盤を右手で掴むと左手に置いた。 「フランツ殿下にかけられた呪いは、このように簡単に外すことが出来ます」    ネブラは、円盤を縦にして皆に見せた。どこの国の文字なのかわからないが、円盤にびっしりと書き込まれている。ネブラは、円盤の一か所を指した。 「ここに皆様がご存じの呪いが書き込まれています。フランツ殿下は、アデリナ様を愛さなければいけない。そうしなければ胸が苦しくなる」  フランツは呪われても胸が苦しくならなかった。そんな呪いなどどこ吹く風で、聖女と会って楽しんでいた。皆は、なぜ呪いが起こらないのかと疑問に思っていた。  ネブラは、別な個所を指した。 「この円盤は、その呪いを発動させるようになっていますが、その発動する条件も書き込まれています。その内容は、アデリナ様がフランツ殿下を愛しているならば、呪いを発動せよ。アデリナ様の愛が冷めたならば、呪いは永遠に発動しないと書き記しています。ですので、今まで呪いは発動されませんでした」 「おい、それって、アデリナが私を愛していないってことかな?」  フランツは、ネブラとアデリナを交互に見た。 「私、フランツ殿下を愛したことなんて一度もありません」  フランツは、アデリナの告白を聞いて、心臓に鈍い痛みが走ったような気がした。 「一度もない? 私に、うるさいくらいつきまとっていたではないか」 「それが、私にもわからないのです。フランツ殿下のどこに好意を抱いたのかさえわかりません」 「失礼なアデリナには、私の魅力が見えなくて当然だな」 「では、フランツ殿下には、私の魅力が見えていましたか?」 「君に魅力があるのか?」 「フランツ殿下、私達は、お互いが持つ特別な魅力が見えない間柄です。今ある複数の問題を落着させることで、魅力がわかる方と出会えるのではないかと思っています」 「アデリナ、君の言い回しはわからない。もっとわかりやすく言ってくれ」 「実は、娘はフランツ殿下の婚約を何度も辞退しています。ですが、ルードヴィッヒ国王とカルラ様が、命令だと娘を婚約者にしたのです」    フランツは初めて聞くことに驚愕した。
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