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三月二十一日 5
仕方なく夜須はカメラのレンズをあちこちに向けて写真に収め、足下にある小さな祠も何枚か同じ角度から撮った。写真を撮りながら、祠の中をレンズを通してみてみたが、やはりご神体というようなものはなかった。
シジキチョウの痕跡を探してみようと、鍾乳石の影などを見て回り写真を撮ったが、卵も幼体も何一つなかった。
もちろん、二十二日前だからか、死体が流れ着くと言った事件も起こらなかった。
気が削がれて落胆したが、とりあえず撮った画像を見返してみる。
ほとんどの画像に白い玉状のものが入っていて、画像としては最悪だった。物好きはこれをオーブと呼ぶらしいが、たいていは空中を舞う埃や湿気の多い場所での小さな水滴、もしくは細かな水しぶきがこのような形で捕らえられるのだという。
もちろん夜須もこれは自然現象であって、オカルトの範疇ではないと考えている。
かなりレンタル料金も高額で、性能も悪くない製品なのに、撮る写真全て失敗では意味がない。
何度か撮り直してみたが、結局同じで、あとで店主に文句を言ってやろうと決めた。
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