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「つ、着いたーーーーー!」
「海だあああああああ!!」
「カップル爆誕しろおお!」
「ナマコーーーーーーー!」
バスに揺られて3時間。
開放感と目の前に広がる青い景色に、生徒たちは歓喜していた。安原は殴られていた。
「森本ー、全員いるかー」
「いましたよ。居なかったとしたらサービスエリアでしょうね。」
「帰りに寄るしいいだろ」
「そんな日帰りみたいな」
1番最後にバスを降りた森本に人数を確認し、駐車場から広場に移動する。他クラスを見渡せば大体全クラス降りきった様で、生徒達が山とその前の海との間にある広場に集まっていた。
木下は1Sの生徒達を指定の場所へ並ばせた後、教師達の待機場所へゆったりとした足取りで歩いていく。山形と三宅が手を振ったため軽く振り返しながら、少し足を速めた。
「木下、どうだった?神面子1Swith本部君のバスの旅は。隣は篠目くんだっけ?」
「なんで知ってんだよお前」
「大体王道の定石だからね。戦いに勝つのは一匹狼でも勝負に勝つのは爽やかくんなんだよ。」
「へー」
「関心って単語知ってる?」
「で、そんなことより実際どうだったんだよ?」
そんなことと仰った!?と騒いでいる三宅を無視して木下は3時間半のバス移動の過程を思い出していた。
─実際、地獄という訳ではなかった。
「〜〜〜だな!!」
「そうだねぇ」
これで成り立っていた、かは知らないが済んでいたからだ。それでいいのか本部。
最初こそ声のデカかった本部だが、篠目が寝かした。その一部始終を木下と1部クラスメイトは見ていた訳だが、本部の脳内を完全に理解して眠りにつかせているようで恐怖を覚えた。
そこから何をしたか。
1Sのクラスメイト達がこれ安心と話そうとした瞬間、篠目が叫んだ。
意味がわからず全員が目を点にしていると、篠目はなんでもないような笑顔で、
「どれくらいの声量まで起きないのか知りたいよね」
と言ってのけた。そして柴田も巻き込んで叫び続けた結果、どれだけ叫んでも起きない、という結果が判明した。
正直そんな結果よりも1S全員の脳内に「篠目は狂人」が刻まれたことの方が重要だった。
「……まあ、平和だったよ。」
「え、嘘過ぎて笑える」
「一生笑えねえ体にしてやろうか」
「すんません……てか何そのセリフ、どうするつもりだよ」
「頬を引きちぎる」
「思ったよりグロかったわ」
と、話している間に生徒会による挨拶が始まっていた。
「またやるのかよ?」
「そういうなよ山形!生徒達は生徒会の顔とジャージと濡れ姿(意味深)を期待してっから!」
『えー、そこの先生方3人お黙り下さい。続いて生徒会会長からの挨拶です。』
副会長が3人を横目に見ながら話す。八割7分で三宅が悪かった、と木下・山形は思うが、正直他の先生も話したりしていた。2人がたまたま目についたんだろうと肩をすくめる中、三宅は震えていた。
(山形か木下…どっちかフラグ立てたのか…?)
禁断の恋の始まり…その予感に、感動で震えていた。
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