萬緑五月─新歓開幕─

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過程をまとめると、こうだ。 生徒会の生徒達と友好関係(?)にあった本部に、憧れ恋慕どちらと限らず想っている他の生徒達…親衛隊からの嫉妬の矛先が向いた。 親衛隊隊長も抑えようとしたところはあったようだが、特に会長の親衛隊は難しく隊員のうちの何人かが共謀して計画を立てた。 E組の生徒に協力を仰ぎ、少人数に分かれる新入生歓迎会の途中で実行に移した。 隊員のうち数名が、本部の班の近くで騒ぎを起こして風紀である東を別れさせ、本部を襲う。 気絶させたところまで良かったものの、なんと驚異の速さで本部が目を覚まし、E組の生徒達をどんどん気絶させる。尚、E組生徒達は本部の配慮で気絶のみの軽傷だった。 実行犯のうちの2人が慌てていたところ、風紀外部班が到着、連行に至った。 「……なるほどね、とりあえず被害者…本部クンは処罰はいらないね。報告によると正当防衛だし加害者も重傷を負ってない。倫理観の欠如もないし…ただ、手を出すより先に携帯の状況を把握するのが望ましいね!」 「……う゛、すi、悪かった!!!」 「うーん声デカ!…で、次。」 そう言って、桐島は加害者達に向き直る。 「B組、C組の生徒会長と会計の親衛隊数名と?E組の生徒4名?ほんっと腹立つね!」 その場が冷える感覚に、全員に緊張が走る。 「生徒会のバカども…に言っても意味ないね。抑制力にはならないし。お前ら、自分で考えてやったの?ほんとに?」 笑顔から一転、冷めた目で見下ろす風紀委員長に、加害者の生徒達の顔が青ざめた。 「E組の君らはトップの命令に背いた訳ね。E組はリーダーがちゃんといるから見逃してたのにね?…まあいいや、それは今じゃないし」 淡々と話を続ける。 離れて見ていた木下も、何度見ても慣れない先程との桐島とのギャップに、心底肝が冷えていた。 隣の三鷹が、小声で囁く。 「俺も正直ビビってて。いやーいつ琴線にふれたらどうしようって考えてまうんすよね」 俺はまだ割と一般人やからさあ、と付け足して苦笑する三鷹が、もう一度桐島の方へ目を向ける。 「とりあえずだ。今すぐ君らには寮に帰ってもらう。未遂なのと被害者が無傷なのもあって一旦1週間停学ね。警備員に届けてもらうから。」 そう言ってスマホを取り出し連絡を始めた桐島の代わりに、近づいた三鷹が口を開く。 「ええか?とりあえずの話やからな。これからの取り調べで退学だって有り得る。自分らがやった事について考えて、二度と変な気を─」 「可笑しいだろ!!俺らはこのチビ共の指示に従っただけだ!!脅されてな!!」 話を遮られた三鷹が顔を顰める。 拘束のまだだったE組生徒のうちの1人が、三鷹に掴みかかった。 それも一瞬で。 E組の生徒が蹴り飛ばされたかと思えば、桐島がその場に立っていた。 「それで済んだら警察ムダだろタコが。それで脅しに負けるのも自分がまいた種。お前元A組だろうがよ」 言われた生徒が言葉に詰まり、俯く。 「お前がSじゃなかった理由は家柄だ。持て余す学力あるんならもっと頭使って行動しろ。いいか?3度目はねぇぞ。」 そう行ってテントに戻っていく桐島の後を三鷹が追う。 その場に残った風紀外部班班長─須賀 宏樹が、俯いた生徒を拘束しながら囁いた。 「桐島さんに蹴られたんだ、光栄に思えよ」 そう言って恍惚に笑う須賀に、囁かれた生徒の背中に冷や汗が伝った。
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