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「あ、でもそしたら一緒に泣けるし、俺が慰めてやるからいいか、それでも。」 「どこが良いんですか。大体慰めるっていうより作業量滅茶苦茶増えて俺たち死んじゃいますよ。」 「確かになぁ。修、ちゃんと食べてるか?目の下にも隈作って・・・。眠れてる?」 「うわぁっ。」 気付くと真横に椅子を移動してきた一条に、するりと頬を撫でられた。ついでとばかりに親指で目の下辺りをなぞられて色気のある流し目をされる。 「やっ、止めて下さいよっ。セクハラ反対!」 「セクハラじゃないよ。同僚の体調を心配してるだけじゃないか。」 「心配って。だったら触らないで下さいよ。」 「それは無理だな。そこに修がいたら触れずにいられない。」 「それがセクハラって言うんですっ。」  ギャーギャー騒いでいたら、大きな咳払いで室長である中務(なかつかさ)に睨まれた。 俺は周りにも頭を下げて謝ったのに、一条は謝る俺の頭を押さえるようにして軽く会釈する程度で、これって俺が悪い事になってない?と疑問に思うのだった。  それでも、実は俺の事を心配してくれている気持ちは本当なのだ、と机に置かれた一口大のチョコのお菓子と缶コーヒーがそう伝えてくれていて、俺はそんなさり気ない優しさに次第に絆されていくのだった。 ++ ++  俺に毎日「好きだ」と言い続けていた一条が、大阪にある支店に出張になったのは一緒に仕事を始めて一年を過ぎた頃だった。 それまでも他の出向先に出向いて仕事をする事は多々あったが、どれも関東周辺や都内が多く退社前に自社に戻ってくる事がほとんどだったので余り気になる事は無かった。
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