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毎日毎日好きだと囁かれ、散々構われ世話を焼かれ続ければ情も移るし、愛情も生まれる。
俺はすでに一条の事を好いていた。
それでも素直にその気持ちを言えなくて、のらりくらりと躱し続けていた。
「俺・・・今回の出張でお前にプライベートで連絡するのは控えるよ。お前には俺への気持ちをきちんと考えて欲しいから。余計な情報を入れて惑わしたりしない。だから、出張から帰ってきたら、ちゃんと返事聞かせてくれないか?そろそろお前からの言葉が聞きたい。」
真剣な声だった。
背後から抱き締められている状態では一条の表情を伺い知る事は出来なかったけれど。
それでも、腕に込められた強さとか、触れてくる体温の熱さとか、そう言ったもので一条の本気さは知る事が出来た。
「な、修・・・。頑張ってくる俺にご褒美ちょうだい。」
「ご、褒・・・美?」
そう言った一条は身体を屈めて俺の唇の端にキスを落とした。
際どいギリギリの端に。名残惜しそうに時間をかけて。そうしてやっと唇を離した。
「今はここで我慢する。戻ってきて、修からOKもらったらちゃんとしたキス、してもいい?」
掠れたような声で囁かれる言葉は頭の中にぼんやりと聞こえ、俺はよく分からないまま頷いた。
「約束だよ・・・。待ってて・・・。」
そう俺にとっては一方的な約束を取り付けて、一条は次の日から出張先へ出掛けていった。
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