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 間抜けな声が出て、状況が把握できない。 「ここ、ここが分からなくて。」なんて一条を呼んで俺の書いたプログラムを確認してもらっている所だったはずだ。 背後に立って画面をのぞき込まれると、近づく一条の身体から香る仄かなフレグランスにドキドキした。 照れたように俯いて、邪魔にならないように身体を横に引こうとした瞬間、一条の手を首に感じた。 「修。目、ビックリマークみたいになってるぞ。」 ふふ、と笑う一条は悪びれた様子もなかったから、俺はああ、これは冗談なんだ、と思った。 質の悪い冗談だったけど。 「じょ、冗談キツイっす。一条さん、俺のファーストキス奪っておいて笑わないで下さいよ。」 そう、お付き合いなんてした事ない俺にとって、今のは正真正銘初めてのキスだった。 「え?修、初めてだったの?」 「い、いやっ。お、可笑しいですよね。いい歳してキスもした事ないなんて。」 「ふーん。初めて・・・。じゃ、修って女の子と付き合った事もない?」 「ありませんよ。学生時代もゲームやったり、漫画読んだり。俺、基本的にインドア派なんです。家でまったりするのが好きなんで出会いとか合コンとか全く縁がなかったですし。」 その上見た目も平凡だから、女の子なんて寄ってこねーんです。 と自虐的に言ってこの話は終わりだと思ったのに、一条は俺のデスクに背後から両手を付いて、俺を椅子に座らせたまま腕の中に閉じ込めてしまった。 「一条さん?」 「修、初めてだったんでしょ。俺、嬉しくてたまんない。」 「は?」 「修、俺と付き合って。初めて奪っちゃったし、俺、ちゃんと責任とって一生大切にするから。」
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