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白羊宮は可能性。星神はハマル・アリエス。人間界の“可能性”を見守り、夢を与えている。
金牛宮は慈悲。星神はエルナト・タウロス。人間に“慈悲”を与えることにより、他者を思い遣る心を育んでいる。
双子宮は選択。星神はポルクス・ジェミニ。人間界の“選択”を見守り、正しき道へ進むように導いている。
巨蟹宮は協調。星神はアセルス・キャンサー。人間界の“協調”を担い、人々が手を取り助け合う心を与えている。
獅子宮は勇気。星神はレグルス・レオ。人間界の“勇気”を見守り、奥底に眠る恐れない心を呼び起こすことを役目とする。
処女宮は知恵。星神はスピカ・ヴァルゴ。人間界の“知恵”を見守り、知識と思考を与えている。
天秤宮は正義。星神はグリーゼ・ライブラ。人間界に“正義”を与えることにより、世界の秩序を守る役割を担う。
天蠍宮は成功。星神はジュバ・スコーピウス。人間界の“成功”を見守り、困難を乗り越える力を与えている。
人馬宮は支配。星神はルクバト・サジタリウス。人間界の“支配”を担っており、力持つ者が他者を守る役目を与えている。
磨羯宮は誘惑。星神はデネブ・カプリコーン。人間に“誘惑”の力を与えることにより、それに打ち克つ強靭な精神を育んでいる。
宝瓶宮は理想。星神はサダルスウド・アクエリアス。人間界の“理想”を管理し、その理想を目指し努力する力を与えている。
双魚宮は猜疑。星神はアルレシャ・ピスケス。人間に“猜疑”の心を持たせることにより、他者を見極め、知る力を与えている。
以上が黄道十二門が星神──全世界の秩序を守る十二神だ。
目を細め、溜め息を吐く。
「双子宮」の欄、ポルクスの隣にカストールの名はない。
それもそうだ、と更に溜め息。カストールは星神としてはまだまだ未熟である。
星神が使えると云われる固有の能力も、自身の力を増幅し結界としての役割も可能だという“境界”も全く使えない。
果てにはアストラの言語である古星文もまともに読めない始末。星のような文字にひたすら苦戦している。
自分の未熟さに苦虫を噛み潰したような表情で、静かに本を閉じた。
その時だ。
パサっと背後で何かが落ちる音がした。唐突な物音に体は大袈裟なほど反応。
思わず椅子から立ち上がって視線を向ける。
そこには、新聞の切れ端が落ちていた。
恐々と近付き、手に取る。
何かの記事を切り取ったもののようだ。
題名は──『クックロビン再び』。
心臓辺りが大きく拍動する。
この記事は、最近アストラを騒がせている謎の存在──クックロビンについてのことが書かれているようだ。
何故だか鼓動が忙しない。脈が早くなるのを感じたが、星の形の文字を指で辿って記事を読み進める。
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