第一章「狂詩曲」──覚醒──

6/8
前へ
/21ページ
次へ
白羊宮(はくようきゅう)は可能性。星神はハマル・アリエス。人間界の“可能性”を見守り、夢を与えている。 金牛宮(きんぎゅうきゅう)は慈悲。星神はエルナト・タウロス。人間に“慈悲”を与えることにより、他者を思い遣る心を育んでいる。 双子宮(そうしきゅう)は選択。星神はポルクス・ジェミニ。人間界の“選択”を見守り、正しき道へ進むように導いている。 巨蟹宮(きょかいきゅう)は協調。星神はアセルス・キャンサー。人間界の“協調”を担い、人々が手を取り助け合う心を与えている。 獅子宮(ししきゅう)は勇気。星神はレグルス・レオ。人間界の“勇気”を見守り、奥底に眠る恐れない心を呼び起こすことを役目とする。 処女宮(しょじょきゅう)は知恵。星神はスピカ・ヴァルゴ。人間界の“知恵”を見守り、知識と思考を与えている。 天秤宮(てんびんきゅう)は正義。星神はグリーゼ・ライブラ。人間界に“正義”を与えることにより、世界の秩序を守る役割を担う。 天蠍宮(てんかつかゅう)は成功。星神はジュバ・スコーピウス。人間界の“成功”を見守り、困難を乗り越える力を与えている。 人馬宮(じんばきゅう)は支配。星神はルクバト・サジタリウス。人間界の“支配”を担っており、力持つ者が他者を守る役目を与えている。 磨羯宮(まかつきゅう)は誘惑。星神はデネブ・カプリコーン。人間に“誘惑”の力を与えることにより、それに打ち克つ強靭な精神を育んでいる。 宝瓶宮(ほうへいきゅう)は理想。星神はサダルスウド・アクエリアス。人間界の“理想”を管理し、その理想を目指し努力する力を与えている。 双魚宮(そうぎょきゅう)猜疑(さいぎ)。星神はアルレシャ・ピスケス。人間に“猜疑”の心を持たせることにより、他者を見極め、知る力を与えている。 以上が黄道十二門が星神──全世界の秩序を守る十二神だ。 目を細め、溜め息を吐く。 「双子宮」の欄、ポルクスの隣にカストールの名はない。 それもそうだ、と更に溜め息。カストールは星神としてはまだまだ未熟である。 星神が使えると云われる固有の能力も、自身の力を増幅し結界としての役割も可能だという“境界”も全く使えない。 果てにはアストラの言語である古星文(こせいぶん)もまともに読めない始末。星のような文字にひたすら苦戦している。 自分の未熟さに苦虫を噛み潰したような表情で、静かに本を閉じた。 その時だ。 パサっと背後で何かが落ちる音がした。唐突な物音に体は大袈裟なほど反応。 思わず椅子から立ち上がって視線を向ける。 そこには、新聞の切れ端が落ちていた。 恐々と近付き、手に取る。 何かの記事を切り取ったもののようだ。 題名は──『クックロビン再び』。 心臓辺りが大きく拍動する。 この記事は、最近アストラを騒がせている謎の存在──クックロビンについてのことが書かれているようだ。 何故だか鼓動が忙しない。脈が早くなるのを感じたが、星の形の文字を指で辿って記事を読み進める。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加