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居間には妻とゴルフバッグを担いだ見知らぬ間男がいた。彼女は俺の姿を見て口を震わせ「......なんで?」と言った。態度から俺の出所を喜んでいないことが窺えた。
「......こいつ、誰?」
傍らに立った男が言った。
「知らない人......」
妻は男の陰に隠れた。
「おまえ、泥棒か?」
男はそう叫ぶとゴルフクラブで殴りかかってきた。それを避けて奴の顎に右フックを入れた。男はその一発で撃沈した。
その時に俺の携帯電話が鳴った。
「良いニュースと悪いニュースがあります」
声の主は歯磨き粉だった。
「良いニュースからお願いするよ。クリスマスだしな」
「喜んでください。探していたボスの居場所がやっと見つかりました。後で詳しくメールします。それから悪いニュースですが......勝手に調べたのを怒らないで聞いてください。先輩を警察に売ったのは奥さんだって内部に潜らせた関係者からの話があるんです。妊娠も嘘です。詐欺の前科ある女狐です。全ては先輩の財産狙いです。気をつけてください......」
「ああ、ありがとうな。メリークリスマス」
俺は電話を切った。財産は収監前に渡してしまっていた。そんなことよりも重要なのは赤ん坊と酒コレクションだ。
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