金庫破りのクリスマス

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「私は遠いところに行かなくっちゃいけないの。もう二度と会えないかもしれない。だから......これからは貴方に皆の面倒を見て欲しいの。これは私の最後のお願い」  組織を離れても親友を続けるつもりだった俺は何も言えず、赤い手袋の両手で拳を包まれたままで頷いていた。自分の進退のことはもうどうでも良かった。ボスが突然消えてしまうという哀しき動揺の前では。 「最後にお願いがあります。ボスの本当の名前を教えて下さい」  何故そう願ったのかは憶えてないが、ボスの名前は響きだけではやっぱり男か女なのかが分からなかった。  ボスは音楽を鳴らした。ジョー・ストラマーが歌うThe Poguesの「Sayonara」が壁に反響した。  OK, it's time for Sayonara  So long, Yankee, break my heart  There's nothing left for us to say now  Even the best friends gotta part
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