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「──今度の日曜に駅前11時に」
一週間前。
私の好きな青羽優樹先輩と買い出しに行くことが決まり、私の心境はふわふわの綿菓子のように甘く、くすぐったさを感じていた。
先輩はバレー部の補欠で、私はマネージャー。
近々。他校と合同練習試合が行われる。そのため不足していたスポーツ飲料。怪我をしたとき用の冷却剤などを買うことになっていた。
「ひとりじゃ、大変だろう。俺も買い出しに付き合うよ」
バレーボールのネットを片付けていると、そう言って先輩が声をかけてくれた。
ああ。ただの買い出し。デートじゃない。わかってる。
それでも、私は嬉しさが隠しきれなかった。
そうして、迎えた当日。
私は舞い上がり朝早くに起きた。お気に入りの洋服を着て、髪なんかも、軽く巻いてみたりした。
先輩はなにも思っていないと思う。でも私にとってはデートだ。
思いきってお昼を誘ってみよう。
美味しいナポリタンのお店があったはず。
ああ。ダメ。口にケチャップがつくかも。
サンドイッチがあるところにするか。
だめだめ。先輩の前で大口あけて食べるなんて嫌われたくない。
うん。ピラフがあるところを誘ってみよう。
そんな計画を立て、買い出しが終わったら、私はこの思いを先輩に伝えようと思ていた。
──それなのに。
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