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「マリエ。君はなんて素敵な猫なんだ。この猫じゃらしを受けとってくれ」
ハチワレ猫が塀の隙間から現れて、綺麗に包装された、猫じゃらしを渡して来た。
「いらんわ」
私は、ぽーいっと遠くに投げる。
ダダダダダ。
ハチワレ猫が、猫じゃらしを追いかけた。
猫まっしぐら。
「マリエ様。今日も一段と美しい。どうでしょう。私と今晩、またたび酒を飲みませんか」
虎猫がおぼつかない足取りで寄ってきた。
すでに、またたびに酔っている。
酔拳か。
だいたい。私は未成年。
ガシャン。
私はまたたび酒の入った壺を叩き割った。
ふにゃふにゃと虎猫は気持ち良さそうに寝てしまう。
私は四足歩行で走り、マリエを見上げた。
「マリエいったいなんなの、この猫たちは」
「さっきも言ったにゃ。婚約猫にゃ。父が選んだエリート猫にゃ。父が私の心を落とせば、出世させるなんて言ったから、近寄ってきたにゃ」
政略結婚。
好きじゃない人と結婚は嫌だよな。
それにしても来るは、来るは、乱闘のように、黒やら白やら茶トラの猫どもが
「結婚してくれ」
「俺の妻になってくれ」
「君と俺は結ばれる運命だ」
など薄っぺらい告白をくり広げてくる。
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