恋する乙女

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とりゃ。とりゃ。とりゃ。 猫キック。猫パンチ。ときどき爪とぎ。バリバリ。 私は、猫どもにお見舞いした。 私の体のマリエも応戦し猫どもの首根っこ捕まえては投げ捨てる。 常日頃(つねひごろ)モテたいモテたいとは思ってはいたが。 こんな逆ハーレムならお断りだ。 ──リンゴーン。 私は、はっとした。 どこからか午後4時を知らせる鐘がなった。 嘘でしょ。 いつの間にか、こんな時間に……。 いやああああ。 誰か嘘だと言って! ああ、太陽がだいぶ傾きかけてる。 嘘だ。嘘だ。 いつの間に5時間も過ぎていたのだろうか。 そんな。私、先輩との待ち合わせ、すっぽかしちゃったってこと。 なんでこんなことになったの。 現実が受け止められず私は立ち尽くした。 本当なら今ごろ私はとっくに告白を終えている。結果はなんであれ、やっとの思いで言えていたはず。 「心。大丈夫。慣れない体で疲れたにゃか」 途方にくれている私に、マリエは心配げに言った。 私はキッと鋭い三角目でマリエを睨んだ。
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