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プルルルルル─────── スマホを耳に当てながら、電話を掛ける。 二次会には参加せず、17時と時間もまだ早い。 家にも帰りたくなかった。 今、1番会いたい子。 その子の家の最寄り駅から、慣れないヒールでトボトボ歩きながらスマホを耳に当てる。 「仕事かな・・・?」 そう呟いた時、「もしも~し!」と元気いっぱいの明るい声が耳に、頭に、私の身体に響く。 「今、もう家の近くなんだけど・・・ 行ってもいい?」 急に来てしまったので恐る恐る聞くと、 「わ~い!いいに決まってるじゃん!」 と、また明るい声が聞こえ安堵する。 ピンポ─────ン エントランスのオートロックを通り、立派なマンションの1角、そこのインターフォンを鳴らす。 すぐに、ガチャ───っと鍵が開き、扉が開いた。 その子が、わたしの姿を見て目を見開く。 そして・・・ 「わ~お!可愛い格好してるね?」 と、誰よりも可愛い顔で、私に笑いかける。 「シューっっっ!!!」 勢いよく、シューに抱き付く。
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