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あれは高2の夏休み前だったか。 期末試験も終わって、たまには水入らずでカラオケにでも行こうぜって事になって。学校帰りに女の子達に声掛けずに2人だけで何時間か遊んで、尾崎んちに一緒に帰った。 尾崎んちってお母さん亡くなってて、父親は多忙で殆ど留守。結構良いマンションに住んでるんだけど、尾崎一人で自炊してた。小学生の頃は60代のハウスキーパーさんを入れてたらしいんだけど、中学に上がった頃にその人が引退して、代わりに30代後半の女性が後任で来たらしい。ところがそいつがα‬として発現してきてた尾崎の色気にとち狂ったのか何なのか、ある日迫って来たらしい。尾崎は隣の部屋に逃げ込んで、父親に電話でチクッて、怒り心頭の父親による派遣会社へのクレームにより、そのハウスキーパーはその場でクビ。それからは他人は家に入れてないんだってさ。 それ以来、尾崎は30代以降の女がダメなんだと。 まあ、仕方ないよね~。 それから家の中の事は尾崎がするようになったらしいけど、器用な尾崎はすぐに家事を覚えたらしい。 そんな尾崎家に、俺は普通に出入りするようになった。家を汚されるのが嫌いな尾崎は、自分のベッドも汚したくないみたいでセフレの女の子達も、男友達も家には呼ばない。家に入れたのは俺だけだって言うんだよ。 そんなの、優越感しかなくない? 『瑛は食い方も綺麗だし、何か所作も品が良いだろ?お前なら家に上げても汚れない気がする。』 そんな事を真顔で言われて嬉しくない訳無いんだけど。 家に上げてもらえて、一緒にゲームしてDVD観て、飯作ってもらえて。尾崎の手料理なんて、尾崎父と俺以外には食べた事なんて無いんだぜ。他の奴らとは明らかに違う待遇。尾崎の中で、俺は間違い無く特別だってわかった。 勘違い、するじゃん…? そんで、何時の間にか会話の途切れた瞬間に視線が絡み合ったりしたら、もう…。 ある日、とうとう。 止めときゃ良いのに、俺は尾崎にキスしてしまった。 でも意外と尾崎もさ、少し目を見開いたくらいで、直ぐに目を閉じたんだ。受け入れられたと思った。 抵抗するならしてる筈。力は同等か、尾崎の方がやや強いもん。 でも、逃げも殴りもせずに受け入れてくれた。 俺はそれに有頂天になって、調子づいて…勢いで、セックスしちゃった。 いや、ビックリ。‪α‬同士でもデキたんだよね。 ‪α‬ってさ、ペニスの形がちょっと特殊なんだ。これは保体の時間にもチラッとやるんで知識としては皆知ってるんだけど、実際に‪α‬とセックスした人間にしかわからないと思う。ホントはβの女の子でも受け入れはキツいと思うし、更に男の体だとβでも‪α‬でも無理めだと思う。だって挿入もするとなると尻の穴になるからね。普通、男性体のアナルは、‪ペニスを受け入れる用のもんじゃないし、ましてや凶悪な‪α‬のペニスなんて裂傷モンだよ。 でもΩなら違う。Ωの体は、女でも男でも俺達‪α‬のペニスの受け入れに耐えられるように出来てるんだ。 中に挿入して、射精して完璧に種付けする為の亀頭球の膨張にも耐えられるように。 だからΩの体は‪α‬専用、って事なんだろな。実際、‪α‬との間での妊娠確率も、産まれた子供が無事育つ確率も、βとは比較になんないし。 で、そんな前提ありきで考えてたから、‪α‬男の俺の体でちゃんと尾崎とセックス出来るのかって心配だったんだよな。 せいぜいが、マスのかき合いくらいかなって思ってた。 でも、俺のアナルはきっちり尾崎のペニスを受け入れた。俺がそっちになったのは、まあ流れだったんだけど…。 だってさ、あの顔で 『…良いか?』 って言われたらさあ…。俺じゃなくても、断れる奴、なかなか居なくね? 俺、遊んでくれる女の子達に痛い思いをさせないようにって日頃から専用ローションと避妊具持ち歩いてたんだけど、それが幸いした感じだった。尾崎が念入りに解してくれたのも良かったんだけどな。 やっぱり同じように遊んでる奴だから、その辺りのテクニックもある訳で。 それでも全部挿入りきる迄は脂汗ダラッダラだったんだけど、時間掛けて馴染ませてくれたからその内気持ち良くなってきてな。 そっからは、アンアン喘ぎ声が出てくるのに、そんなに時間は掛からなかった。 その日からだったな。 気の合う親友ってだけだった関係に、体の関係も加わったのは。 でも、付き合おうとか好きだとか、そんな言葉は口に出来なかった。 尾崎も言わなかった。 ‪α‬同士なんて不毛だって、知ってたから。
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