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どうぞと答えるのも変だったかなと思っていると……城矢は宣言通り、俺の身体を再び抱き締める。
そっと、優しく包まれるような感覚。
城矢の体温を、直に感じる……。
「……ナナちゃん、俺ね。ナナちゃんが永瀬君に見せる笑顔が自然な表情だったからっていう以外にもう一つ、ナナちゃんと永瀬君の関係を不安に感じてしまった理由があって」
俺を抱き締めたままポツリと発した城矢の言葉に、俺は「え、何?」と答えた。
すると、城矢は……。
「さっき永瀬君が帰り際に、ナナちゃんに〝今度、大事な話がある〟って言ってたでしょ? それって、もしかしたらナナちゃんへの告白なんじゃないかって思っちゃって……」
「こ、告白⁉︎」
恭司が、俺に⁉︎
「な、ないない! 恭司と俺は本当にただの友達だし、そもそも男同士だぞ! 恭司は今まで、可愛い女の子としか付き合ってないし!」
「俺も今まで付き合ってきたのはみんな女の子だったよ」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「性別なんか関係なく、今はナナちゃんのことが大好き」
「……っ」
城矢から、あまりに真っ直ぐな目で見つめられたから、恥ずかしさで何も答えられなくなる。
それでもやっぱり、恭司が俺のことを好きだなんてこと、ないよなぁ……。
……城矢が妬いてくれたのは、正直少し嬉しいけど。
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