内気なポメガは、ハイスペ同期に溺愛される

わん

ーー…

納期にはまだ日数があるが、今日は残業をすることにした。

進捗状況に切羽詰まっているわけではないが、かと言って余裕があるわけでもない。
家に帰ってもいつものように仕事のことばかり考えてしまうくらいなら、考えなくても済むくらいには作業を進めておきたかったのだ。

他の社員は既に退勤している。
必要のない残業はもちろん推奨されていないが、たまには、ということで今日の残業は許された。

一人きりの空間で、集中して手を動かしていると突然、制作室の扉が外側からガチャッと開いた。

そしてーー。

「ナーナちゃん！」

「え⁉︎」

扉から入ってきたのは、城矢だった。