わん

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「し、城矢、何でここに……。みんなと一緒に帰ったんじゃ……?」 「うん、退勤はしてるよー。でも昼間、ナナちゃん顔色悪かったし心配でさ。とりあえず腹は減ってるだろうと思って、差し入れ買ってきた!」 城矢はニコニコ笑顔でこちらに歩いてくると、俺のデスクにカラフルな紙袋をそっと置いた。紙袋から、何だか良い匂いがする。 「俺の行きつけのパン屋のおススメパンだよ! 美味しいからナナちゃんも食べてみて!」 「パン?」 「あ、もしかしてパンは苦手? 昼間、おにぎり食べてたし」 「え、いや、パンも好きだけど、なんか悪いなと思って……あ、せめて金払う……」 「俺が勝手に買ってきただけだから金はいらないよ! それより、俺のオススメのパンだから、食べてくれたら嬉しいな!」 ……満面の笑みで、そんな風に言われたら……。 「……あり、がと……」 苦手な相手なのに、うっかり素直にお礼を言ってしまった。まあ、ちょうど腹減ってたからパンもらったのは素直に嬉しいし……。
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