お手!

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なんて恥ずかしいことを思っていると、城矢が突然、こんなことを言ってきた。 「あのさ。今度、俺の家族にナナちゃんのこと紹介してもいいかな?」 「紹介……?」 ……紹介⁉︎ 「な、何言ってるんだよ⁉︎」 俺は慌てて上半身を起こした。動揺する俺とは裏腹に、城矢はにっこりと笑っている。 「まだ早いかな?」 「は、早いっていうか、紹介って何? あ、友達としてってこと?」 「ううん。恋人として」 「お、俺達男同士だぞ⁉︎ 普通は内緒にするものじゃないか……⁉︎」 俺はどこまでも狼狽えてしまうが、城矢は穏やかな表情と態度を一切崩さずに、こう言った。 「俺の家族、そういうの誰も気にしないんだ。俺は四人姉弟の末っ子なんだけど、姉達はみんな結婚して子供もいるし、長女が家を継ぐことが決まってるから、俺は結婚しなくてもいいとか言われてるくらいだし。男性のパートナーでもいいじゃんってハッキリと言われたこともあるよ」
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