内気なポメガは、ハイスペ同期に溺愛される

お手！

城矢の実家への訪問日の朝、俺は寝癖を必死に直し、普段より少し長めに歯を磨いたりと、いつも以上に時間を掛けて身支度を整えた。

黒いＴシャツの上に、ブルーのシャツを羽織る。お洒落をし過ぎてもやたら張り切っているように見えそうだし、大人しめの服装にした。
と言っても、先週購入したばかりの新品の服だから見た目はちゃんと綺麗なはず。

そして午前十時、城矢が車でアパートの前まで迎えに来てくれた。

「おはよう、ナナちゃん。今日はよろしくね」

「お、おはよう……こちらこそよろしく……」

あー、ヤバい。かなり緊張してきた。

ひとまず助手席に座らせてもらいシートベルトを着けると、車はゆっくり丁寧に発進し出した。