お手!

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城矢の実家は、千葉県らしい。 なので実家からでも職場まで通えないことはないようだが、毎日通勤することを考えるとやはり少し遠いため、今は東京に住んでいるとのことだった。まあ、単純に一人暮らしをしたかったというのもあるらしいが。 というか、車持ってるの羨ましい。俺もいつか車欲しいな。まず免許すら持ってないけど。 「ナナちゃん、口数少ないけど、緊張してる?」 不意に城矢からそう尋ねられる。俺の口数が少ないのはいつものことだが、きっとバレバレだったのだろう。 「……してる。ただでさえ人と話すの苦手なのに、こ、恋人の家族と会うなんて、不安しかない。ちゃんと会話出来るかな……」 「不安がらなくても大丈夫! 俺の家族、みんなめちゃくちゃフレンドリーだよ! それに、男性の恋人を連れていくって事前にちゃんと話してあるし」 「……男同士で付き合ってるってこと、驚いてなかったか?」 「大丈夫そうだったよ! みんな、ナナちゃんに早く会いたいって言ってた!」 そ、それはそれでプレッシャー……! ていうか、そもそもこんなに話し下手でコミュ障の俺が恋人なんて、性別以前の問題じゃないか? ……ヤバい。緊張が増してきた。
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