お手!

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高速に乗り、そこからは約一時間程で城矢の実家に到着した。 城矢の家は、真新しい家が立ち並ぶ住宅街の中にあった。 レンガ調の洋風な造りをしたお洒落な一軒家で、周りの住宅と比べて一際大きかった。 城矢は手慣れた様子でカーポートの下に車を停めると、シートベルトを外し「降りていいよ」と言ってくれる。 ゆっくりと車から降りると……俺は不意に、身体に〝異変〟を感じた。 「ナナちゃん、玄関はこっち……って、わー⁉︎ 何でポメに⁉︎」 振り向いた城矢が驚く。俺の身体が突然、ポメ化していたからだ。 「わ、悪い。緊張のしすぎで……」 「変身するほど緊張しなくても! 待って、すぐに撫でてあげるから!」 「ま、待て! ここで人間の姿に戻って素っ裸になるのはマズい!」 「確かに……! じゃあ、いったんひと気のない所に移動してーー」 城矢がそう言い掛けた時、城矢の背後から「玲?」という女性の声が聞こえてきた。 声の方へ視線を向けると、スレンダーで高身長な、とても綺麗な女性がそこに立っていた。 顔だけ振り向いた城矢は、その女性に対して、こう答える。 「あっ、姉ちゃん。た、ただいま」 ……お姉さん⁉︎
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