お手!

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「時間ぴったりだね。みんな来てるよ」 「え、みんな? 他の姉ちゃん達も来てんの?」 「そうなのよ。玲が恋人連れてくるなんて言うから、みんな張り切って集まっちゃったのよ〜」 そう話しながらフフッと笑う城矢のお姉さんは、やっぱり美人。よく見ると城矢とよく似ている。 「ところで、肝心の恋人君はどこにいるーーって、何でポメラニアン連れてるの⁉︎」 ……そうなるよね。 城矢は観念して、俺を抱っこしたまま身体ごとお姉さんの方へ振り向く。 「可愛い! もふもふー! その子どうしたの?」 「えっと、この子は……お、俺とナナちゃんで今飼ってるんだ。家で留守番させるのがかわいそうで、連れてきた……」 「そうなんだ。玲の住んでるアパート、ペット可だもんね。で、七生君は?」 「ナナちゃんは今……そ、そこのコンビニで買い物してる」 「何で玲は一緒じゃないのよ?」 「えーと……そう、レジが壊れて、会計が長引きそうだったから、とりあえず先に来た」 「そうなんだ、後でちゃんと迎えに行ってあげなよ。とりあえず家入ったら?」 「い、いや、大丈夫。ここでナナちゃんからの連絡持ってる」 「そう。じゃあ、ポメちゃんだけ連れてくねー!」 「えっ⁉︎ いや、ちょっと待っ……!」 お姉さんは城矢の制止を聞かず、俺の身体を抱っこしたままスタスタと家の玄関へ向かっていく。 「ま、待ってったら!」 城矢も慌てた様子で後を追い掛けてくる。 俺はお姉さんに抱かれたまま、緊張で硬直状態。「ふふ、大人しいポメちゃんねー」なんて言われている。 どうしよう!まさかこんなことになるとは! ポメガだってこと、絶対にバレないようにしないと!
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