お手!

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「お帰り、玲。待ってたわよ」 玄関で、城矢のお母さんらしき女性が出迎えてくれた。 以前に城矢から聞いてはいたが、城矢のお母さんは外国の方。 白くて透き通るような肌に、金色のロングヘア、そして青い瞳。 長身でスレンダーで、とても綺麗な方だった。 ちなみに日本語はとてもお上手で、流暢だ。 「あら、(りん)が抱いてるそのポメちゃんは、一体どこの子?」 城矢のお母さんが不思議そうに、しかしどこか嬉しそうに犬の俺を見つめる。前に城矢が、実家で犬を飼っていると言っていたことがあったし、お母さんも犬好きなのかもしれない。 お母さんの質問に、城矢は若干動揺しながら、こう答える。 「えっと、この子は俺とナナちゃんが今飼ってる子なんだ」 「そう。凄く可愛いわね。ところで肝心の七生君は?」 「コ、コンビニのレジ故障に捕まってるんだ。後で来る、よ……?」 「あら、そうなの。とりあえず中に入りなさいよ」 「いや、俺は……」 「私はポメちゃんと遊ぼーっと!」 「あっ、ちょっと姉ちゃん!」 俺は凛さんに抱かれ、声を出すことも出来ないまま、思わぬ形で城矢家にお邪魔することになってしまったーー。 これだけ緊張していれば恐らく人間に戻ることはない……よな⁉︎ 不安すぎる‼︎
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