わん

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城矢からもらった紙袋を開けると、見た目からお洒落で美味そうなパンが三種類、入っていた。 せっかくだし給湯室でコーヒー淹れてこようかな……などと考えていると、城矢が俺の背後からパソコンの画面をひょこっと覗き込む。 「これ、今ナナちゃんが担当してる案件だよね?」 「え? あ、うん……」 「凄いいいね! ここの色遣いとか、パッと見て惹かれるし!」 「……」 ……褒められて嬉しくないわけじゃない。 だけど、俺より明らかに優秀な城矢に言われても、何だか素直に喜べなかった……。 俺は捻くれているのだろうか。 〝どうせ城矢だったらもっと良いデザインが作れるんだろ〟なんて……心の中で悪態をついてしまった。
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