お手!

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そんなことを考えていると、凛さんとお母さんのこんな会話が聞こえてきた。 「それにしても、玲が恋人を家に連れてくるなんて、本当に嬉しいよね」 「そうね。今まで何人かお付き合いしてた女の子はいたみたいだけど、一度も連れてこようとしなかったものね」 ……え?初めて? 「ほんとにね。彼女いるなら家に連れてきなよって何度言っても、〝いや、いいよ。結婚するわけじゃあるまいし〟とか言って、絶対に連れてこなかったもんね……」 「玲は優しいけど、恋愛には意外と淡白なのよね。誰にも執着しないし……。だから、そんな玲が初めて、恋人を紹介したいって自分から言ってくれて嬉しかったな」 ……そう、だったんだ。 誰とでも親しく話せて、コミュ力の高い城矢のことだから、今まで付き合ってきた女の子達のこともみんな、家族に紹介してきたんだと思ってた。 ……もし俺が、城矢にとって少しでも特別な存在ならーー凄く幸せだな。 それなのに、いつまでもウジウジとネガティブな考え方ばかりしていたら、今までの俺と何も変わらない。 変わりたいんだ、俺は。 城矢が俺を想ってくれていることを、自信にしたい。 そして、これから城矢と対等になれるよう、頑張っていきたい。
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