お手!

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「えっ、えっ⁉︎ ナッちゃんが男の子に⁉︎」 「なになに⁉︎ ど、どういうこと⁉︎」 二人共、当然驚いていてーー俺は、自分の全身から血の気が一気に引いていくのを感じる。 ……終わった……。 ーー… ポメガであることが城矢のご家族にバレた。 ご家族からは、城矢との交際を反対されることはもちろん、すぐさま家から追い出され、もう二度と家に来るなと釘を刺されーー という展開を予想していたのだが……。 「いやー、まさか七生君がポメガとはねー!」 リビングのソファで向かい合いながら、凛さんが明るく笑ってそう言った。 「ポメガの子に会うの初めてだったから、思わず驚いちゃってごめんね!」 「い、いえ、そんな、こちらの方がご迷惑をお掛けしまして……」 凄く普通に接してくれてる……。俺、ポメガなのに? 気味悪がられてない……? ちなみに、城矢の部屋にあった服を凛さんが貸してくれたので、全裸だった俺は今、それを着ている。 凛さんとしどろもどろ会話していると、紅茶の乗ったトレイを持って、城矢のお母さんがリビングに戻ってきた。 「玲も、先に言っておいてくれたら良かったのにね。ごめんね七生君」 「い、いえ!」 お母さんも、普通に接してくれている。それどころか、謝らせてしまったんだけど……⁉︎ ……あ、テーブルに置かれたカップから紅茶の良い香りがする……。
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