お手!

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この状況でまず最初に口を開いたのは、さっきリビングに入ってきた方のお姉さんだった。 少し派手な見た目の凛さんと瑠璃さんと比べ、外見は一番大人しそうに見える。 「七生君、初めまして。私は三女の麗奈(れな)と言います。お母さんと凛ちゃんから、ポメガの件はざっと聞いたよ」 「あ、は、はい、いや、初めまして。甲斐 七生です……」 あ、俺今、凄い変なタイミングで自己紹介したわ……恥ずかしい……。 しかし麗奈さんは、そんな俺を見て優しく微笑みながら、話を続ける。 「七生君がポメガだってことは、子供達には秘密にしておくから安心してね」 「え?」 「あ、別にポメガであることは世間に秘密にしておくべきことだって言いたいわけじゃないからね⁉︎ でも、さっきまでの七生君と玲の様子からして、ポメガの秘密は普段は周囲には隠しているんだろうなと思って。きっと子供達に話したら外で誰かにペロッと話しちゃうと思うから、ここにいる私達だけの秘密にしておこうと思ったんだけど……も、もしかして余計なお世話だったかな⁉︎」 「い、いえ! そんなことないです!」 余計なお世話だなんて、とんでもない。寧ろ気遣っていただいて、とても嬉しかった。
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