お手!

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「ところでナナちゃん、さっきまであんなに緊張してて人間の姿に戻るどころじゃなさそうだったのに、何かあったの?」 隣に座る城矢からそう尋ねられ、俺は「えっ⁉︎」と狼狽えることしか出来ない。 だって、城矢が今まで俺以外の恋人を家に連れてきたことがなかったと知って嬉しかったとか、城矢のお母さんの撫で方が城矢の感触に似ていて満たされたとか、まさか言えないから。 「よく分からないけど、撫でられると元の姿に戻るのよね?」 「え? でも私が撫でた時は戻らなかったよ」 「よく分からないけど、そういう時もあるんじゃない?」 「そっか」 という、お母さんと凛さんの会話に、俺は「ははは……」と曖昧に頷いた。皆、ポメガについては詳しくないようで良かった……。
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